65歳以上の5人に1人が認知症に…

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
日本では、2020年現在で65歳以上の認知症患者数は約600万人と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。

若くても、脳血管障害やアルツハイマー型認知症のために認知症を発症することがあります。65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といい、若年性認知症者数は3.57万人と推計されています。

認知症にはいくつかの種類があります。
1. アルツハイマー型認知症
2. 脳血管性認知症
3. レビー小体型認知症
4. 前頭側頭型認知症
5. その他

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。

脳血管性認知症

障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。
症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。
また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。

レビー小体型認知症

現実には見えないものが見える幻視、手足の震え、歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれます。

前頭側頭型認知症

スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれます。

早期発見・早期治療

認知症のように普段の生活に支障をきたすほどではありませんが、記憶などの能力が低下し、正常とも認知症ともいえない状態のことを「軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)」と言い ます。MCIの方の約半数は5年以内に認知症に移行するといわれていますが、この段階から運動などの予防を始めることで、進行を遅らせることが期待されています。

軽度認知障害(MCI)のサイン・症状

少し加齢によるもの忘れが強いと感じたら、MCIの可能性も考えられます。

MCI3大特徴

・以前と比べ、もの忘れなどの認知機能低下がある。本人自覚or家族頭に気づかれる

・もの忘れが多いという自覚がある

・日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない

認知症のサイン・症状

認知症状は、記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などの中核症状と、行動・心理症状(BPSD; Behavioral and Psycho logical Symptoms of Dementia)に大別できます。

中核症状

もの忘れ(記憶障害)
⇒ 数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる
⇒ 同じことを何度も言う・聞く
⇒ しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている
⇒ 約束を忘れる、同じものを何個も買ってくる
⇒ 昔から知っている物や人の名前が出てこない

時間・場所がわからなくなる
⇒ 日付や曜日がわからなくなる
⇒ 慣れた道で迷うことがある
⇒ 出来事の前後関係がわからなくなる

理解力・判断力が低下する
⇒ 手続きや貯金の出し入れができなくなる
⇒ 状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
⇒ 運転などのミスが多くなる

仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
⇒ 調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
⇒ 身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる
⇒ 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
⇒ 食べこぼしや失禁が増える

行動・心理症状(BPSD)

不安、一人になると怖がったり寂しがったりする
憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる
怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる
誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)
自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう

認知症予防とEMS治療の関係性

学習や記憶、認知能力には、脳の中の海馬で作られるある物質「脳由来神経栄養因子(BDNF」 が関与しています。この物質量の低下が、アルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病などの重篤化を招くと言われています。
BDNFは海馬以外に、筋肉(骨格筋…骨を動かすための筋肉)で作られることも知られています。 そのため、筋トレにより病気の予防、改善が期待できるのですが、かなりキツイ運動強度に設定する必要があり、高齢者や病気の人には難しいという懸念点がありました。

そこで、先進テクノロジーのブランディングを展開するMTGと金沢大学による研究グループは、骨格筋に神経筋電気刺激(EMS)を与えた時の血中BDNFの発言量増加について実験を行い、結果、刺激する筋肉が多いほどBDNF濃度の高まり、約20分間にわたりBDNFの発現量が増加することが確認されました。
特に下腿三頭筋(ふくらはぎ)に刺激を与えた際に高い効果が得られ、高齢や病気のために運動ができない人たちも、ふくらはぎへのEMSにより認知症やうつ病を予防、改善できる可能性が出てきました。

認知症(進行)予防プログラム

上記をもとに、弊社では下腿三頭筋(ふくらはぎ)へのEMS(ES-530アストロン)に加えて、大脳皮質や大脳辺縁系への血流量増加を目的とした鍼灸治療の併用プログラムを提案、提供しています。

認知症の種類や程度によって、障害されている部位などに違いはあるものの、大脳の萎縮や老人斑の発言が問題とされています。認知症予備軍とされている軽度認知症、また将来を見据えた認知症予防に対しても上記プログラムは有効と考えられます。

さらに、上記に加えて脳の活性化を図るシナプソロジープログラムも行っております。

「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳内のシナプスと言われる、連絡網に対して適度な刺激を与え、活性化を図ります。複数人で楽しく行うことで、感情や情動に関係した脳も活性化され、認知機能や運動機能の向上と共に、不安感の低下も期待できます。

参考文献