肩関節周囲炎に対するアストロン超音波とテクトロンを併用
肩関節周囲炎に対するアストロン超音波とテクトロンの併用戦略
① 目的別の基本方針
| 目的 | 機器 | 主な効果 | 推奨タイミング |
|---|---|---|---|
| 炎症・痛み軽減 | アストロン超音波(低出力連続またはパルス) | 深部温熱・微小循環改善・炎症抑制 | 急性期〜慢性期初期 |
| 筋緊張緩和・関節可動域改善 | テクトロン(干渉波/EMS複合) | 筋緊張抑制・求心性刺激・鎮痛 | 慢性期・可動域訓練前後 |
② 治療メカニズム
🔹 アストロン超音波
1MHzは深部加温(肩関節包・腱板)、3MHzは浅部加温(肩峰下滑液包・上腕二頭筋腱)に適しています。
マイクロマッサージ効果により、癒着組織の可動性を高め、パルスモード(20〜50%)では熱感を抑え炎症期にも使用可能です。
使用例:
痛みの強い時期:1MHz / 0.8W/cm² / パルス50% / 5分
可動域拡大期:3MHz / 1.0W/cm² / 連続 / 7〜8分
🔹 テクトロン(干渉波 or EMSモード)
干渉波による鎮痛作用(ゲートコントロール理論)で痛覚を抑制し、筋ポンピング効果により血流促進・浮腫軽減を図ります。
さらにEMS刺激により、肩周囲の深層筋(棘下筋・肩甲下筋など)を活性化します。
使用例:
肩甲上神経領域(肩峰〜肩甲棘下)+上腕外側に4極配置
出力:15〜25mA(軽い収縮)
周波数:3〜5Hz(鎮痛目的)→ 慢性拘縮期には20Hz前後
③ 臨床プロトコル(例)
- アストロン超音波で組織の温度上昇・滑走性向上 → 筋・関節包の伸展準備
- テクトロン干渉波で痛み抑制・筋弛緩 → 他動ROM・ストレッチ介入へ
- バイオフィードバックでROM確認 → 改善角度・返却率を提示(患者教育)
④ 効果を最大化する組み合わせ
「超音波 → 手技療法(G3リズム0.5Hz)→ テクトロン」が基本的な流れです。
痛みが強い日は「超音波+テクトロン」で終了、
可動域改善期には「テクトロン後に関節モビリゼーション(G4)」を追加します。
⑤ 注意点
- 急性炎症(熱感・腫脹)時は温熱刺激を避ける
- ペースメーカー装着者・妊婦・金属インプラント部位は禁忌
- 施術前に皮膚感覚テスト・出力閾値確認を必ず実施
アストロン超音波とテクトロンの併用は、「鎮痛 → 温熱 → 可動域拡大」を段階的に促す理学療法的アプローチです。
炎症期から拘縮期まで、状態に合わせた適切な刺激量と順序が回復の鍵となります。




