脊柱管狭窄症の症状・原因は?鍼灸×超音波で深部改善を目指す

1. そもそも「脊柱管狭窄症」とは?なぜ痛みやしびれが出るのか
「少し歩くと足が痛くなって休んでしまう」「お尻から足にかけてしびれが取れない」 もしあなたがこのような症状にお悩みなら、それは**脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)**の可能性があります。
病院で診断名を告げられても、「なぜ痛いのか」「どうすれば治るのか」が分からず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。まずは、この病気の正体と、痛みのメカニズムについて分かりやすく解説します。
背骨の中にある「神経のトンネル」が狭くなる病気
私たちの背骨(脊椎)の中には、脳から続く重要な神経が通るトンネルがあります。これを**「脊柱管(せきちゅうかん)」**と呼びます。
脊柱管狭窄症とは、加齢や労働による負担などが原因で、この脊柱管が狭くなり(狭窄)、中を通る神経や血管が圧迫されてしまう状態のことです。
なぜ「痛み」や「しびれ」が出るの?
実は、神経が圧迫されること自体も問題ですが、最大の原因は**「神経の酸欠(血流障害)」**です。
1.骨や靭帯の変形: 加齢により、背骨の間にあるクッション(椎間板)が潰れたり、背骨を支える**黄色靭帯(おうしょくじんたい)**が分厚くなったりします。
2.圧迫と血流低下: 分厚くなった組織が脊柱管を狭め、神経と、神経に栄養を送る血管を締め付けます。
3.症状の発生: 歩くなどして背筋を伸ばすと、脊柱管はさらに狭くなります。すると神経への血流が途絶え、酸欠状態となって「痛み」や「しびれ」が発します。逆に、前かがみになって休むと脊柱管が広がり血流が戻るため、症状が楽になります。
これを**間欠性跛行(かんけつせいはこう)**と呼び、脊柱管狭窄症の最大の特徴です。
2. 脊柱管狭窄症の3つのタイプと特徴
脊柱管狭窄症は、神経のどの部分が圧迫されるかによって、大きく3つのタイプに分類されます。ご自身の症状がどれに当てはまるか確認してみましょう。特に**「鍼灸治療」が効きやすいタイプ**かどうかの判断基準にもなります。
① 神経根型(しんけいこんがた)
脊髄から枝分かれした根元の神経(神経根)が圧迫されるタイプです。
特徴: 主に**「片側の」**お尻や足に痛み・しびれが出ます。
治療の相性: 保存療法(手術をしない治療)で改善しやすいタイプであり、鍼灸治療や超音波治療の効果が特に期待できます。
② 馬尾型(ばびがた)
脊柱管の中心を通る神経の束(馬尾神経)が圧迫されるタイプです。
特徴: **「両足」**にしびれや冷え感、脱力感が出ます。進行すると、お尻周りのほてりや、**排尿・排便障害(尿が出にくい、漏れるなど)**が現れることがあります。
注意点: 膀胱直腸障害(排尿障害)が出ている場合は、早急に専門医による手術が必要なケースがあります。
③ 混合型(こんごうがた)
神経根型と馬尾型の両方の特徴を併せ持つタイプです。両足にしびれがありつつ、特定の部位に強い痛みを感じる場合などがこれに当たります。
3. 深層に届く!「鍼灸治療」による脊柱管狭窄症へのアプローチ
「マッサージに行っても、その場限りですぐに戻ってしまう」 脊柱管狭窄症の方からよく聞かれる悩みです。なぜなら、原因となっている神経や筋肉は、手技では届かない**体の深い場所(深層)**にあるからです。
ここで力を発揮するのが、鍼灸(しんきゅう)治療です。
なぜ「鍼」が脊柱管狭窄症に効くのか?
1. 深層筋(インナーマッスル)への直接アプローチ 脊柱管狭窄症の方の多くは、背骨を支える深層の筋肉(多裂筋など)がガチガチに固まり、それが背骨を圧迫して脊柱管をさらに狭くしています。鍼は皮膚を貫通して深さ数センチにある筋肉のコリに直接アプローチできるため、圧迫の原因を根本から緩めることができます。
2. 神経周囲の血流を一気に改善する 鍼を打つと、体は異物を察知して反射的に血管を拡張させます(軸索反射)。これにより、酸欠状態にあった神経に新鮮な酸素と血液が送り込まれ、傷ついた神経の修復が促進されます。
3. 脳への鎮痛作用 鍼刺激は、脳内麻薬と呼ばれる鎮痛物質(エンドルフィンなど)の分泌を促します。これにより、慢性的に感じていたつらい痛みを脳レベルで和らげる効果があります。
4. 「超音波治療」の効果
当院では、鍼灸治療と合わせて**「超音波治療器」**を使用することで、脊柱管狭窄症の改善率を飛躍的に高めています。「検査のエコー」とは異なり、治療用に調整された特殊な音波エネルギーを使用します。
「ミクロマッサージ」で深部を温め、緩める
超音波治療器は、1秒間に100万回〜300万回という目に見えない高速振動を体の奥深くに伝えます。この振動が生み出す効果は主に2つです。
1.深部温熱効果: 手技やホットパックでは届かない、体の奥深く(骨や靭帯の近く)をピンポイントで温めます。これにより、脊柱管狭窄症の原因の一つである**「分厚く硬くなった黄色靭帯」や「深層筋」に柔軟性を取り戻させます。**
2.非温熱効果(ミクロマッサージ): 細胞レベルの細かい振動が、炎症物質の除去を促進し、過敏になった神経の興奮を鎮めます。
「鍼 × 超音波」の相乗効果
鍼でツボと神経を刺激し、超音波で深部の組織を柔らかくする。この2つを組み合わせる(コンビネーション治療)ことで、頑固な痛みやしびれに対して、手術以外の選択肢として強力なアプローチが可能になります。
5. 自分でできる対策と予防法(セルフケア)
脊柱管狭窄症は「生活習慣病」の側面もあります。治療院でのケアに加えて、ご自宅でのセルフケアを行うことで、改善へのスピードは格段に上がります。
やってはいけないこと:「腰を反らす」
脊柱管狭窄症は、腰を反らす(後屈する)と脊柱管が狭くなり、症状が悪化します。
高いところの洗濯物を取る
うつ伏せでスマホを見る
長時間、背筋を無理に伸ばして立つ これらは避けましょう。
おすすめの姿勢:「ショッピングカート姿勢」
スーパーのカートを押すときのような**「少し前かがみ」**の姿勢が最も脊柱管が広がり、楽に過ごせます。歩くのがつらい時は、シルバーカーや杖を使って前傾姿勢を保つのも有効な手段です。
1分でできる!「膝抱えストレッチ」
脊柱管を広げ、腰の筋肉を緩める簡単なストレッチです。
仰向けに寝ます。
両手で両膝を抱え込み、胸の方へぐーっと引き寄せます。
腰が丸まるのを感じながら、気持ちいい範囲で20秒〜30秒キープします。
これを1日3回行いましょう。
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