頭痛に悩む方へ|症状・種類・原因と鍼灸を組み合わせた頭痛対策ガイド

1. 頭痛とは?よくある症状
頭痛は「頭のどこかが痛い状態」の総称ですが、実際にはいろいろなタイプがあります。
代表的な痛み方・場所
-
ギューッと締めつけられるような痛み
-
ズキンズキンと脈打つ(拍動性)の痛み
-
重い・ボーッとするような鈍い痛み
-
目の奥・こめかみ・後頭部など、一部だけが痛い
一緒に出やすい症状
-
肩こり・首こり
-
吐き気・胃のムカつき
-
光・音・ニオイに敏感になる
-
目の奥の重さ・疲れ
-
フワフワするめまい
こうした 「頭痛+周りの症状」 が積み重なると、仕事・家事・勉強の集中力が落ち、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
頭痛は大きく 2つのグループ に分けられます。
◆一次性頭痛(機能性頭痛)
脳や血管に明らかな病気はないけれど、
筋肉・血管・神経・自律神経の働きの乱れで起こる頭痛です。
代表例
-
緊張型頭痛
-
片頭痛(偏頭痛)
-
群発頭痛
鍼灸の主な対象になるのはこの一次性頭痛で、
特に緊張型頭痛・片頭痛の一部では、筋肉や自律神経の調整による改善が期待できます。
◆二次性頭痛(症候性頭痛)
別の病気が原因で起こる頭痛です。
例
-
くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍などの脳の病気
-
髄膜炎などの感染症
-
緑内障、副鼻腔炎、頚椎の病気 など
二次性頭痛が疑われる場合は、鍼灸より先に「医師の検査・治療」が最優先になります。
2. 頭痛の主な種類と症状の違い
同じ「頭痛」でも、種類によって痛み方や原因が大きく違います。代表的な一次性頭痛を整理します。
◆緊張型頭痛:もっとも多い「締めつけ型」
特徴
-
頭全体〜後頭部~側頭部が重く痛む
-
「ヘルメットをかぶっている感じ」「締めつけられるような痛み」
-
両側に出ることが多い
-
吐き気はあっても軽めで、光・音に極端に弱いことは少ない
出やすい状況
-
デスクワーク・スマホで同じ姿勢が長時間続いたとき
-
精神的な緊張・ストレスが強いとき
-
目の酷使・眼精疲労が続いたとき
背景にあるもの
-
首・肩・後頭部の筋肉のこわばり
-
猫背・ストレートネックなどの姿勢不良
-
ストレスによる食いしばり・噛みしめ
→ 鍼灸では、首〜肩〜頭の筋緊張を緩め、血流と自律神経を整えることでアプローチします。
◆片頭痛(偏頭痛):ズキンズキンと拍動する頭痛
特徴
-
片側(ときに両側)のこめかみ〜目のあたりが痛い
-
ズキンズキンと脈打つような拍動性の痛み
-
動くと痛みが悪化しやすい
-
光・音・ニオイに敏感になる
-
吐き気・嘔吐を伴うことも多い
出やすいきっかけ(トリガー)
-
気圧の変化(台風・低気圧の日)
-
寝不足・寝過ぎ
-
生理前後などのホルモン変化
-
チョコレート・赤ワイン・チーズなど特定の食品
-
強い光・人混み・疲労・ストレス
背景にあるもの
-
脳の血管が一時的に拡張し、周囲の三叉神経が刺激される
-
自律神経のバランスの乱れ
→ 鍼灸では、首・肩・側頭部の緊張をとりつつ、自律神経を整え、発作の頻度・強さをコントロールすることを目標にします。
◆群発頭痛:眼の奥をえぐるような激痛
特徴
-
片側の眼の奥〜周囲が、えぐられるような激痛
-
涙・鼻水・眼の充血など、自律神経症状を伴う
-
1〜2か月の「群発期」に、毎日ほぼ同じ時間帯に出ることが多い
注意点
-
痛みが非常に強く、「自殺頭痛」と表現されるほど
-
専門医による診断・薬物療法が必須のことが多い
→ 群発頭痛そのものは 必ず専門医の診断・治療が優先。
鍼灸は、医師の方針に沿いながら 筋緊張や自律神経の安定をサポートする役割 を担います。
◆その他
例
-
首の関節や筋肉の問題から来る「頸性頭痛」
-
顎関節症・食いしばりが絡む頭痛
-
副鼻腔炎など鼻の病気からくる頭痛
首・顎・顔面・鼻・耳など、頭部周囲のトラブルが「頭痛」として感じられるケースも多くあります。
→ 鍼灸では「頭のどこが痛いか」だけでなく、
「首・顎・目・鼻など、どこからの影響で頭痛が出ているか」 を評価し、
ツボ・筋肉・経絡を選んでいくのが特徴です。
3. 頭痛の原因とメカニズム
◆筋肉のこわばり・姿勢不良による頭痛
デスクワーク・スマホ・家事育児などで、
-
首を前に突き出した姿勢
-
肩がすくんだ状態
-
同じ姿勢が長時間続く
と、首〜肩〜後頭部の筋肉が硬くこわばります。
筋肉が固くなると、
-
血流が悪くなる
-
老廃物がたまりやすくなる
-
神経が敏感になる
この結果、緊張型頭痛や頸性頭痛につながります。
◆血管・神経の変化による頭痛
片頭痛では、
-
脳の血管が一時的に拡張する
-
その周りを走る神経(三叉神経など)が刺激される
ことで、ズキンズキンと脈打つような痛みが起こると考えられています。
気圧・ホルモン・ストレスなどで血管や神経が過敏になると、
ちょっとしたきっかけでも頭痛発作が起こりやすい状態 になります。
◆ 自律神経・ストレスとの関係
自律神経は、
-
交感神経:緊張・活動モード
-
副交感神経:休息・リラックスモード
のバランスをとっています。
ストレス・疲労・睡眠不足が続くと、
-
交感神経優位が続く
-
筋肉も血管も「緊張モード」のまま
→ 緊張型頭痛・片頭痛ともに、発作が起こりやすい土台ができてしまいます。
精神的ストレスだけでなく、
-
寒さ・気圧変化
-
長時間の画面作業
-
運動不足
などの「身体的ストレス」も、自律神経を乱す大きな要因です。
◆ホルモン・気象・生活習慣
片頭痛は特に、
-
生理前後
-
更年期のホルモン変化
と深く関係していることが知られています。
また、
-
台風や低気圧
-
急な冷え込み
など 気象の変化 も頭痛のトリガーになりやすい要素です。
生活習慣では、
-
寝不足・寝過ぎ
-
食事の抜き・早食い・偏食
-
カフェイン・アルコールの摂り過ぎ
などが「頭痛を招きやすい条件」になります。
4. 鍼灸が頭痛に働きかける仕組み
鍼(はり)やお灸でツボ周辺を刺激すると、
皮膚・筋肉の神経
→ 脊髄
→ 脳(痛み中枢・自律神経中枢)
へと情報が伝わります。
その結果、次のような変化が期待できます。
-
筋緊張の緩和
-
首・肩・側頭部など固くなった筋肉がゆるむ
-
神経への圧迫が減り、痛みの原因そのものが軽くなる
-
-
血流改善
-
血液が流れやすくなり、こり・冷えが改善
-
痛み物質(乳酸など)の排出が促される
-
-
自律神経バランスの調整
-
交感神経の過緊張が落ち着き、副交感神経が働きやすくなる
-
眠りの質が上がり、ストレスにも対処しやすくなる
-
施術後に
-
体がポカポカする
-
眠くなる・リラックスする
-
肩や首が軽くなる
と感じる方が多いのは、このメカニズムによるものと考えられます。
東洋医学では、頭痛を次のように捉えます。
-
気血(エネルギーと血)の滞り
-
外から侵入した「風・寒・湿」などの邪気
-
ストレスで上半身に熱がこもる状態(肝陽上亢 など)
鍼灸では、
-
頭の局所のツボ
-
首・肩・背中などの経絡上のツボ
-
合谷・足三里など、手足の遠隔のツボ
を組み合わせ、頭だけでなく体全体のバランスを整えることを重視します。
たとえば、
-
緊張型頭痛 → 気血の滞り(瘀血)+筋緊張
-
片頭痛 → 肝の気の高ぶり+自律神経の乱れ
-
冷えが強い頭痛 → 腎や陽気の不足
といったように、体質・生活背景も含めて評価し、ツボを選ぶのが鍼灸の特徴です。
5. 鍼灸と併用した頭痛予防・セルフケア
鍼灸治療の効果を高め、頭痛を繰り返さないためには、日々のセルフケアがとても大切です。
◆姿勢・デスクワーク環境を整える
-
画面の高さ:目線と同じくらいにする
-
椅子の高さ:膝が90度・足裏が床にしっかりつくように調整
-
キーボード・マウス:肘が約90度で、肩がすくまない位置に
1時間作業したら1〜2分は立ち上がる・肩を回す など、こまめに体を動かすこともポイントです。
◆目と脳を休ませる
-
スマホ・PCは「1時間使ったら1回、遠くをぼんやり見る」
-
目の周りを温めるホットタオルでリラックス
-
寝る1〜2時間前は、できるだけ画面を見る時間を減らす
眼精疲労が軽くなると、首肩こり → 頭痛 という流れを断ち切りやすくなります。
◆睡眠と生活リズムを整える
-
毎日できるだけ同じ時間に起きる
-
寝る直前のカフェイン・アルコールを控える
-
朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる
睡眠の質が上がると、自律神経が安定し、頭痛の頻度・強さも落ち着きやすくなります。
◆簡単ストレッチと呼吸でリセット
首・肩の簡単ストレッチ
-
首をゆっくり横に倒し、反対側の肩を軽く下げる
-
両肩をすくめてからストンと落とす動きを数回
-
胸を張って、肩甲骨を寄せるような動きを数回
呼吸法(4秒吸って8秒吐く)
-
鼻から4秒かけて吸う
-
口をすぼめて8秒かけて吐く
-
5〜10回繰り返す
ゆっくりした呼吸は、交感神経の緊張を和らげ、頭痛の予防・軽減に役立ちます。
★頭痛に関する詳細はこちら



