【プロ解説】冷え性は鍼灸で治る?温めても治らない理由と最強ツボ
1. イントロダクション

「靴下を2枚履いても、足の指先が氷のように冷たい…」 「寝る時に電気毛布がないと眠れない…」 「オフィスで自分だけひざ掛けが手放せない…」
冬本番のこの時期、こうした頑固な冷えにお悩みではありませんか?
カイロを貼ったり、厚着をしたり、「外から温める対策」を頑張っている方は多いと思います。しかし、それはあくまで一時的な対処法。外した瞬間、またすぐに冷えてしまうのが現実ではないでしょうか。
実は、慢性的な冷え性は、あなたの身体の**「自家発電機能(熱を作る力)」**が低下しているサインです。
この機能を復活させるのに、今、再注目されているのが東洋医学の**「鍼灸(しんきゅう)」**です。 「鍼(はり)や お灸(きゅう)が冷えに効くの?」と疑問に思うかもしれませんが、実はこれ、医学的な根拠に基づいた最強の温活メソッドなのです。
この記事では、なぜあなたの冷えは治らないのか、そしてどうすれば「自ら熱を作れるポカポカ体質」になれるのか、プロの視点で分かりやすく解説します。
2. なぜ、あなたの冷えは「温めても治らない」のか?
そもそも、なぜこれほどまでに身体が冷えてしまうのでしょうか? 主な原因は「寒さ」そのものではなく、身体の内側の仕組みにあります。
原因① 自律神経の乱れ(血管の収縮)
人間の体温調節をしているのは「自律神経」です。 仕事や家事で忙しく、常にストレスや緊張を感じていると、自律神経の「交感神経(戦うモード)」が優位になりっぱなしになります。 すると、身体は中心部の臓器を守ろうとして、手足などの末端の血管をギュッと閉じてしまいます。 ホースを足で踏んでいるのと同じ状態で、これではいくら外から温めても、温かい血液が指先まで届きません。
原因② 筋肉量の不足と運動不足
体温の約6割は、筋肉が動くことで作られています。 女性に冷え性が多い最大の理由は、男性に比べて筋肉量が少ないからです。特に「ふくらはぎ」の筋肉が弱いと、足先まで行った血液を心臓に戻すポンプ機能が働かず、冷たく古い血液が足元に溜まってしまいます。
原因③ 内臓の冷え(胃腸の弱り)
冷たい飲み物を好んだり、胃腸の働きが弱かったりすると、お腹の中心が冷えます。 人間の身体は生命維持を最優先するため、内臓が冷えていると、**「手足に血液を送っている場合じゃない!内臓を温めなきゃ!」**と判断し、手足への血流をカットします。 手足の冷えは、実はお腹を守るための防御反応なのです。
3. 冷えに「鍼灸(しんきゅう)」が効果的な3つの医学的理由
では、なぜ鍼やお灸が冷え性改善に効果的なのでしょうか?スピリチュアルな話ではなく、生理学的な反応として説明できます。
① 強制的に血管を広げる「軸索反射」
鍼を打つと、その刺激を身体のセンサーが感知し、「軸索反射(じくさくはんしゃ)」という反応が起こります。 簡単に言うと、鍼の刺激によって血管を広げる物質(CGRPなど)が放出され、強制的に血管が拡張し、血流が良くなるのです。これにより、閉じていた手足の血管が開き、温かい血液が流れ込みます。
② お灸(温熱刺激)による深部体温の上昇
お灸の熱は、カイロやヒーターとは質が異なります。 もぐさを燃やす熱には遠赤外線効果があり、皮膚の表面だけでなく、身体の深部(筋肉や血管)まで熱を届けることができます。また、ツボを温めることで、全身に温かいエネルギーを巡らせる効果があります。
③ 自律神経のリセット効果
鍼灸治療には、高ぶった交感神経を鎮め、リラックスモードである「副交感神経」を優位にする強力な作用があります。 治療中に眠くなってしまう方が多いのはこのためです。身体がリラックスすることで、全身の血管が緩み、指先までポカポカと血が通うようになります。
4. あなたはどのタイプ?東洋医学で見る「4つの冷えタイプ」
一言で冷え性と言っても、タイプによって対策やツボが変わります。あなたはどれに当てはまりますか?
🔹 末端冷えタイプ(気滞・瘀血)
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症状: 手足の先だけ氷のように冷たい。しもやけができやすい。
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特徴: 若い女性や、ストレスが多い方に多い。「気が巡っていない」状態で、緊張すると余計に冷えます。
🔹 下半身冷えタイプ(上熱下寒)
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症状: 足は冷たいのに、顔や頭はほてって汗をかく。
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特徴: デスクワークの方や、更年期世代に多い。「冷えのぼせ」とも呼ばれ、上半身と下半身の温度差が大きいのが特徴です。
🔹 内臓冷えタイプ(隠れ冷え性)
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症状: 手足は温かいが、お腹やお尻を触ると冷たい。下痢をしやすい。
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特徴: 胃腸が弱く、消化機能が落ちています。自覚症状がない場合も多く、免疫力が低下しやすい要注意タイプです。
🔹 全身冷えタイプ(気虚・陽虚)
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症状: 常に寒気を感じる。お風呂に入ってもすぐ冷める。体温が低い(35℃台)。
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特徴: 「エネルギー(気)」そのものが不足している「バッテリー切れ」状態。慢性疲労を伴うことが多いです。
5. 【図解】自宅でできる!冷え性改善「最強のツボ」5選
プロも治療で必ず使う、冷えに効く「最強のツボ」をご紹介します。 市販の「せんねん灸」を使ったり、指で痛気持ちいい強さで押してみてください。
① 三陰交(さんいんこう)
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場所: 足首の内くるぶしの頂点から、指4本分上がった骨の際。
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効果: 女性ホルモンのバランスを整え、足元の冷えを解消する万能ツボ。
② 太衝(たいしょう)
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場所: 足の甲、親指と人差し指の骨が交わる付け根のくぼみ。
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効果: ストレスによる「末端冷えタイプ」におすすめ。気の巡りを良くします。
③ 湧泉(ゆうせん)
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場所: 足の裏、指を曲げた時にできる「へ」の字のくぼみの中央。
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効果: その名の通り「エネルギーが湧く泉」。冷えた身体を底から温めます。
④ 関元(かんげん)・気海(きかい)
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場所: おへその下、指4本分下(関元)と、指2本分下(気海)。
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効果: いわゆる「丹田(たんでん)」のエリア。ここをカイロやお灸で温めると、全身のボイラーに着火したように温まります。
⑤ 足三里(あしさんり)
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場所: 膝のお皿の外下、くぼみから指4本分下がったところ。
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効果: 胃腸の働きを高め、食べたものから熱エネルギーを作る力を助けます。
6. 鍼灸治療で「冷え体質」が変わる期間と頻度
「どのくらい通えば治るの?」という疑問にお答えします。
まずは「週1回」を3ヶ月
体質改善には、細胞が入れ替わるサイクルが必要です。 個人差はありますが、週に1回の治療を3ヶ月続けてみてください。
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1ヶ月目: 治療直後はポカポカするが、数日で戻る(身体が良い状態を覚えようとしている)。
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2ヶ月目: 寝つきが良くなる、朝の辛さが減るなど、生活の変化を感じる。
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3ヶ月目: 「あれ?そういえば今年は霜焼けができていない」「カイロがいらなくなった」と、体質の変化を実感する。
治療と併せて行うべき「セルフケア」
治療院に来ていない時間の過ごし方も大切です。 当院では、あなたのタイプに合わせて「身体を温める食材(根菜など)」の選び方や、効果的な入浴法などもアドバイスし、二人三脚で改善を目指します。
7. 冷えを放置するとどうなる?(未病の考え方)
「たかが冷え」と甘く見てはいけません。東洋医学では**「冷えは万病の元」**と言われます。 冷えを放置すると、以下のようなリスクが高まります。
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免疫力の低下: 体温が1℃下がると、免疫力は30%下がると言われます。風邪やウイルスに弱い身体になります。
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慢性痛の悪化: 血流が悪いと、肩こりや腰痛、膝の痛みが治りにくくなります。
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婦人科系トラブル: 子宮や卵巣が冷えると、生理痛、生理不順、不妊症などの原因になります。
冷えを感じている今は、身体からのSOSサイン(未病)です。本格的な病気になる前に、今ここで食い止めることが大切です。
8. まとめ
冷え性は、生まれつきの体質だからと諦める必要はありません。
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自律神経を整えて、血管を開く。
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お灸で深部に熱を届ける。
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内臓を元気にして、熱を作れる身体にする。
鍼灸治療でこのサイクルを作れば、あなたの身体は必ず変わります。
今年の冬こそ、「カイロなしでも過ごせる身体」を手に入れませんか? まずは一度、当院の「温活鍼灸」をご体験ください。身体の奥からポカポカする感覚を、ぜひ味わっていただきたいです。



