レッドコード(Redcord)とは?― 痛みを怖がらずに動ける新しいリハビリ法
レッドコード(Redcord)は、天井から吊るしたロープやスリングに体をあずけて行うリハビリ法。体重を一部免荷しながら安全に運動でき、痛みの軽減・姿勢改善・バランス向上が期待できます。対象者やエクササイズ例、FAQをやさしく解説。
1.レッドコードのしくみ
「体を動かしたいけど、痛みが怖い…」「無理して悪化しないか不安…」そんな方におすすめなのがレッドコード(Redcord)です。ノルウェーで生まれたリハビリ器具で、天井から吊るしたロープやスリングに体をあずけて運動します。 普通の運動とちがうのは、「体重を一部免荷する」「不安定な環境でバランスをとる」「運動の強さを細かく調整できる」という3つの特徴があること。体重を一部支えてくれるので、関節や筋肉に負担をかけず安全かつ効果的にトレーニングできるのが特徴です。
体重を軽くする(免荷)
ロープやスリングに体を預けると、体重の一部がロープで支えられます。これを免荷といい、たとえば体重が60kgでもロープが20kg分を支えれば、実際に足にかかる重さは40kgに。そのため腰・膝・肩などに痛みがある人でも関節や筋肉に過度な負担をかけずに運動できます。リハビリ初期や手術後など「痛みがあるけれど少しずつ動かしたい」時期にも有効です。
揺れる環境でバランスをとる
レッドコードのロープは揺れやすく、運動中に体がわずかにぐらつきます。この不安定な環境で姿勢を保つために体幹や姿勢保持筋が自然と働くようになり、転びにくい身体づくりや神経と筋肉の連携力アップにもつながります。高齢者の転倒予防やスポーツ選手の動作安定性アップにも効果的です。
運動の強さを自由に調整
ロープの長さ・角度・体の支え方を変えることで、運動の難易度を細かく調整できます。最初はロープで体を大きく支える軽い運動から始め、少しずつ支えを減らして自重での運動へステップアップ。慣れてきたら片脚・片腕など不安定な姿勢で行い、より高い筋力やバランス力を鍛えることも可能です。リハビリ初期から競技復帰まで幅広く使えるのがレッドコードならではの特徴です。
2.効果まとめ

- ①痛みをやわらげる:使いすぎた筋肉を休ませ、働きにくい筋肉を目覚めさせることで、負担を均等にして痛みを減らします。
- ②姿勢がよくなる:体幹の筋肉をバランスよく使うので、猫背や反り腰の改善にも役立ちます。
- ③バランス感覚がよくなる:揺れる環境での運動により、転びにくくなります。高齢者の転倒予防にもおすすめ。
- ④神経と筋肉の連携がよくなる:脳卒中などで動きづらくなった手足を、再びスムーズに動かせるようにします。
- ⑤筋力・持久力がつく:軽い運動から始めて、体力や筋力がついてきたら少しずつ負荷を上げていけます。
3.レッドコードを使用したトレーニングに向いている人は?


腰や肩、膝に痛みがある人
慢性的な腰痛や肩こり、膝関節痛などがあると、動かすだけでも不安になることがあります。
レッドコードでは体重を一部免荷できるため、痛みがある関節や筋肉に負担をかけずに動かす練習ができ、
少しずつ正しい動きを取り戻せます。
手術やケガのあとでリハビリ中の人
手術後や骨折・靭帯損傷などのケガ後は、筋力が低下していたり関節が固まっていたりします。
ロープで体を支えながら運動できるレッドコードなら、リハビリ初期でも安全に動作練習を再開できます。
脳卒中後で体が動かしにくい人
脳卒中後は、手足に麻痺やしびれが残り、思うように体が動かせないことがあります。
レッドコードでは、不安定な環境でバランスをとることで神経と筋肉の連携を再び活性化させる効果があり、
歩行や日常動作の再獲得に役立ちます。
高齢で転びやすくなってきた人
加齢により筋力やバランス感覚が低下すると、ちょっとした段差やつまずきでも転倒してしまうことがあります。
レッドコードでは、転倒の心配がない安全な環境で立位や歩行の練習ができるため、
高齢者の転倒予防トレーニングにも最適です。
スポーツに復帰したい選手
ケガや長期離脱後の選手は、筋力・バランス感覚・動作の正確さを取り戻す必要があります。
レッドコードなら、最初は軽い負荷でフォームを整え、徐々に負荷を高めて
競技動作に近いトレーニングへ移行できるため、安全に競技復帰を目指せます。
5.【実例】レッドコードを用いた免荷ランジ
天井から吊るしたスリングで体重の一部を支え、膝・股関節・腰に負担をかけずにランジ動作をしている写真です。リハビリ初期や競技復帰の橋渡しに有効なトレーニングで、
①体幹・バランス機能の向上(不安定環境で自然に動員)
②痛みへの恐怖心を抑え、可動域と筋力を段階的に向上できます。

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ステップ1:スリングを手または体幹に装着し、軽く体を支えた姿勢を作ります。支え量は不安がない程度に。 足は腰幅、背すじを伸ばして立ちます。最初は免荷を多めに設定し、安心して立位を保てる状態からスタートします。
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ステップ2:足を前後に開き、つま先は正面に。骨盤は正面を向けます。 前後の足幅は「前脚の膝が90°近くまで曲げられる距離」。ぐらつく場合は一歩狭め、免荷量を少し増やします。
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ステップ3:前脚の膝を約90°まで曲げながら、ゆっくり体を下ろします。後ろ膝は床に近づける程度。 膝がつま先より大きく前に出すぎないよう注意。胸は軽く張り、背中を丸めないようにします。
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ステップ4:前脚で床を押し、まっすぐに立位へ戻ります。左右交互に繰り返します。 目安は左右各10回×1〜3セット。痛みが出る場合は可動域を浅くし、免荷を増やしましょう。
⚠️ 注意点
- 膝がつま先より大きく前に出ない(前脚の膝は概ねかかとの上)
- 痛みが出る場合は可動域を浅くし、免荷量を増やす
- 必ず専門スタッフの指導のもとで実施してください
安全性と注意点
- 専門スタッフの指導のもとで行うので、安全性が高い
- はじめは軽い運動から始めて、少しずつレベルアップ
- 強い痛みがあるときや医師から運動を止められている場合は事前に相談
よくある質問(FAQ)
- Q:何回くらいで効果が出ますか?
- A:個人差がありますが、数回で「体が軽くなった」「動きやすい」と感じる方も多いです。
- Q:高齢でもできますか?
- A:体重を軽くして行うので、高齢の方でも安心して始められます。
- Q:筋肉痛になりませんか?
- A:無理のない強さから始めるため、大きな筋肉痛はほとんどありません。
🌟 まとめ ― 無理せず、楽しく体を動かせる!
レッドコードは、「痛みを我慢して頑張る」リハビリではなく、体にやさしく、楽しみながらできるリハビリです。正しい動きを繰り返すことで、痛みの軽減・姿勢改善・バランス力アップが期待できます。気になる方は、レッドコードを導入している施設で一度体験してみましょう!