消化不良
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背景・疫学
食物の消化が順調に行われないために下痢や嘔吐をおこす場合をいう。おもに生後から2年間ぐらいの乳児や幼児にみられ、入院治療の必要なこともある。成人では軽症で簡単に治癒することが多い。
栄養摂取は、食事栄養素の摂取、消化吸収、体内に入ってからの中間代謝の3段階に大別されるが、乳児期には消化吸収機能に余裕がなく、反面、成長発育に伴う体内の代謝は旺盛であるので、ちょっとした食事摂取の過誤や消化吸収の障害から代謝障害を引き起こしやすく、下痢や嘔吐などの消化器症状ばかりでなく、代謝性アシドーシス、二次的他臓器感染、腎障害、循環障害などの全身障害をおこし、意識障害、けいれんなどの中毒症状を現してくる。このような重症の消化不良症を消化不良性中毒症という。
原因
消化不良の原因は、
・食事の過誤
過量の食事を与えたとき、濃厚な調乳、質的に偏りのある食事、不消化な食物、離乳期の不適切な食事など
・腸感染症
細菌(サルモネラ菌、赤痢菌、病原大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌)やウイルスなどによるものがある。
・腸管外感染症
感冒、咽頭炎、気管支炎、中耳炎、腎盂炎などのあるときにみられる。
・高温・高湿によるうつ熱
食欲減退、消化機能の低下を招く。
・その他、アレルギー性体質、神経症体質などが背景にあるときにおこりやすい。
一般的治療法
軽症では吐き気がなければ母乳はそのまま与えるが、湯冷ましや番茶を与えて水分を補給する。人工栄養のときはミルクを約2分の1に希釈する。離乳食の場合はこれを一時中止し、母乳やミルクだけにする。嘔吐のある場合には脱水などの重篤な状態になりやすいので、小児科医の診察が必要となる。